住所変更登記等の申請の義務化【令和8年4月26日までに適用開始】
住所変更登記等の申請の義務化の背景
住居の引っ越しや婚姻等による氏の変更により、不動産登記簿上の情報と変わっている場合があります。現行では、これらの変更を行う登記は任意とされ、実務的には不動産を売却する際や贈与する際、その現状に変更をする登記と続けて売買による所有権の移転や、贈与の登記を申請することが多いです。
しかし、このように住所や氏名の変更登記を随時行わないと、相続登記を放置されている場合と同じ事態になることがあり問題となっております。
例えば、実家の不動産を相続した後に住居を引っ越し、登記簿上の住所と現在の住所が違う場合があります。この場合に相続した建物が倒壊の危険性があり、行政(市町村や国)としては解体を行いたいと考えてしても所有者との了解や協力が必要不可欠です。ここで協力依頼を行うため、連絡を取ろうと登記簿上の住所へ書類を郵送するもその住所にはすでに居住していないため、宛先不明で返戻されることになります。次の転居先を調査している間にリスクが高まり、解体工事を行う前に倒壊して近隣住民の方に被害が出てしまうことも想定されます。
この他にも所有者の住所が常に現在のものと同一であるのであれば、問題の対処が一日でも早く対処が可能となるため住所変更登記等が義務となりました。
1 住所変更登記等の申請の義務化内容
・所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすること
・「正当な理由」がないのに申請を怠った場合には、5万円以下の過料に処する。
2 住所変更登記等の申請の方法(令和4年8月現在)
・ 不動産の所在地を管轄する法務局へ住所変更登記等の申請を行う。
・ 登記申請書を作成し、添付書類とともに申請を行う。
・ 必要書類としては、住民票・戸籍の附表、戸籍謄本等
・ 手数料は、1つの不動産につき1,000円の登録免許税が必要
・ 司法書士への依頼可能
3 住所変更登記等の申請の方法(改正後)
・ 法務局へ事前に「検索用情報」を提供しておく。
・ 法務局は定期的に市区町村役場の住民基本台帳ネットワークを照会し、変更の有無について確認を行う。
・ 市区町村役場への確認後、法務局から変更があった者に対して、了解(申し出)を得れば法務局が職権で変更の登記を行う。